翁面の時代

能の歩

猿楽と田楽

 奈良時代に中国から伝来した散楽に源を発し、日本古来の芸能と融合して発達した猿楽が中世以前の日本の芸能の代表であったが、その猿楽が、鎌倉時代の中頃に、寿命長遠をことほぐ翁猿楽によって民衆の信仰と結びつく一方、寺院の延年の影響などで、能と呼ばれる劇形態の芸を生み出した。農村の芸能から発達して職業化した田楽も能を演じ、田楽と猿楽が互いに芸を競うようになって、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて、能は急速に進歩したのである。そうした能の発達に大きく寄与したのが大和の有力な寺社で田楽も猿楽も、寺社の後援を受けた座(芸能組織)が主流を占めた。

創作の時代

能楽六〇〇年の歩み 平凡社 別冊太陽 日本のこころ 能 (昭和53年11月25日発行)から抜粋